昨年夏に京都市に引っ越し帰還して以来、毎月二回行っている場所があります。上図の「京都アスニ―」こと「京都市生涯学習総合センター」です。無料で利用出来、京都市中央図書館が併設されているので便利です。
場所は中京区の丸太町通の七本松で、最寄りの市バス停は「丸太町七本松」です。私の職場から市バスで大体20分ぐらいで行けますので、大体は退勤後に立ち寄って、閉館時間まで楽しんでいます。
「京都アスニ―」こと「京都市生涯学習総合センター」の公式サイトはこちら。
毎月2回行って何を楽しんでいるかというと、「京都アスニ―」一階の「京都市平安京創生館」内に展示されている、上図の1/1000スケール平安京復元模型です。平成6年に平安遷都1200年記念事業の一環として制作されました。対象範囲は東西4.5キロ,南北5.2キロに及び、)で,国内では最大規模の復元模型として知られています。
しかも、時々メンテナンスや追加製作が行われており、平成30年には対象範囲をさらに拡げています。このときは西側の右京区辺りが拡がりましたが、今後は現在未着手の東側左京区エリアが追加されるとの噂があります。そうなったら、今よりも規模が大きくなりますので、見応えも増すでしょう。
「京都市平安京創生館」の公式サイトはこちら。
かつて奈良市に住んでいた頃は、奈良市役所の展示室にあった平城京復元模型を毎月眺めに行っていましたから、その延長上でこちらの平安京復元模型を楽しんでいる形になりますが、しかし模型の規模が4倍ぐらい、出来もより精巧になっていますので、模型好きにはたまりません。歴史関係も趣味なので、こういう歴史模型というのは、どのようなものでも何度見ても飽きません。
この復元模型を見ていると、現在の京都市街を回っていてもなかなかイメージしにくい古代の景観がリアルに分かってきて、現存の社寺や遺跡の位置を目安にしての距離や方角の把握が簡単に出来ます。そうやって頭の中にこの模型のイメージを写し取るようにおさめておくと、京都市街の歴史散策にて古代の平安京のどこに居るかが分かってきて楽しくなります。
この模型では、いまでは均一的に市街地化してしまった平安京の内と外との景観の差が明白に示されています。いまの右京区の大半は京外なので、御覧のように原野が広がって田畑もまだそんなに開拓されていない状態です。嵯峨も嵐山も普通の原野だった頃の景色が楽しめます。
日本最大規模の模型なので、奥へ行くほど細部が見えにくくなり、双眼鏡が欠かせません。撮影もOKですが、なるべく望遠モードのついたカメラを使うのが良いでしょう。
例えば、上図の六波羅の範囲など、双眼鏡で見ないと細かい区画が分かりにくいです。ほぼ中央に位置してこちらに正面を向け、前面に門を設けている朱柱のお堂は、現在の六波羅蜜寺本堂にあたりますが、その向こうの池を中心とする区画が平清盛の邸宅であった「泉殿」です。そして六波羅蜜寺本堂の左にも庭園を有する邸宅がありますが、そこが平頼盛の邸宅であった「池殿」です。今では完全に市街化していますので、この模型で景色を見ておかないと、現地での歴史理解がなかなか進みません。
私自身は、どちらかというと古代よりも中世戦国期の京都の歴史および景観に興味がありますので、出来たら中世戦国期の京都の歴史復元模型も同じスケールで作って欲しいな、と思います。
例えば、「泣く子も黙る鬼の六波羅」と謳われた鎌倉幕府の六波羅探題は「泉殿」エリアを接収して設置されたようですが、この模型はそれ以前の景観を復原していますから、六波羅探題はまだありません。その政庁施設のイメージもなかなかまとまりません。なにしろ遺跡がいまだに確認されていませんから、仕方がありません。
なので、いま移築されて現存している六波羅探題の北方と南方の御門は、一体どのあたりに建っていたのだろう、と模型を眺めるたびに首を傾げてしまいます。