
サンダース大学付属高校のアリサは、戦車道チームにおいては隊長のケイ、副長のナオミに次ぐナンバー3のポジションにあります。ですが、劇場版の対大学選抜戦におけるアズミ中隊との接触においては、ケイに指揮を任されているので、試合時には副指揮官の役割を担っていたのかもしれません。

その搭乗車は、M4A1シャーマン76mm砲搭載型で、鋳造車体の曲面に覆われるが如きフォルムが外見上の特色の一つです。パーシング隊の集中砲火を浴びながらもかすり傷にとどまり、避弾経始に優れたボディフレームの良さを示しています。だからこそ、上図のように、あさがお中隊左翼隊の先陣に有って哨戒を行なっていたのでしょう。

今回は、そのアリサ搭乗車を、元ネタといわれるイタレリの225番のキットによって再現してみたいと思います。キット自体は古い時期の製品ですが、以前の記事にて紹介したように、2016年6月にプラッツより「WORLD OF TANKS アメリカ 中戦車 M4」として再販がなされました。そのためか、従来は入手困難であったのが幾らか改善されたようです。
私自身は、大阪の模型店にて偶然にも中古品に巡り合いましたが、キットそのものはプラッツからの再販品と全く同じです。発売元がプラッツですから、その気になれば、ガルパンの公式キットに加えてリリースすることも可能であるはずですが、現時点ではまだそうなっていません。

中身は、古い時期のイタレリ製品としてはスタンダードであるそうです。パーツ数も少なくて組み立て易そうです。ストレートに組めば数時間で出来上がりそうですが、ガルパン仕様にするならば、幾つかの修正が必要となります。

イタレリの製作ガイドはシンプルで見やすいです。全てのパーツに、組み立てる順番で番号をふってあるので、基本的には番号順にパーツを切り離して整形して組み付ける、というスタンスになります。タミヤやドラゴンに比べると、かなり分かり易いシステムだと思います。
ステップ1では、VVSSのサスペンションを組み立てます。

ですが、キットのVVSSのサスペンションのパーツは、劇中車の初期型ではなくて、後期型になっています。これはタミヤの無印M4でも同様でしたが、ともに第二次大戦では最初の頃に実戦配備されたシャーマンであるにもかかわらず、VVSSは後期型でパーツ化されています。

しかし、アリサ搭乗車を含めてガルパンのシャーマン劇中車は、上図のように全て初期型のVVSSをつけています。タミヤやイタレリのキットを使う限りはVVSSの相違が問題点としてついて回ります。
ドラゴンのキットでは、きちんと初期型のパーツも揃っていますから、例えば、ドラゴンのオペレーションコブラのキットでアリサ車を再現する、という方法のほうが現実的かもしれません。

今回の製作においては、VVSSもきっちり劇中車に合わせる、という方針で臨みます。前回作った隊長ケイの搭乗車はドラゴンキットで初期型のVVSSパーツが揃っていましたが、今回のイタレリキットには無いので、アスカのサスペンションセットシリーズより初期型(Aセット、35-007)を取り寄せました。

このアスカのサスペンションセットは、今回のイタレリキットにも対応しており、ガイドの指示通りに組み立てるだけで、難なく初期型VVSSを劇中車そのままに再現出来ます。
これは、タミヤキットにも対応しており、隊長ケイの搭乗車をファインモールドの公式キットで作る場合にも利用出来ます。模型店の店頭在庫ではなかなか見かけませんので、アスカモデルのネットショップにて在庫があるときに購入するのが良いでしょう。

アスカのパーツは細かく分割されていますが、精度は抜群で、組み合わせもきっちりと隙なく進みます。実物同然の可動状態が再現出来るため、ラジコンやリモコンで作る場合には重宝するそうです。
今回使用したアスカのパーツは、サスペンションアームやボギー部分ではB2、B3、B4、B5、B6、B9、B14、B18、B19、B21、B22でした。スキッドはB15とB16のタイプを選択、転輪はスポーク式のB20を選んでグリスニップルのある面を外側に向けました。内部には発泡ゴムのシートを指示通りにカットしたものを三枚重ねて組み入れました。

組み立ては難しそうに見えますが、慣れてしまうと、簡単です。パーツの合いが良いのでストレスも無く、むしろサスペンションの構造がよく分かって勉強になります。シャーマン系列のキットをメインにして評価も高いアスカモデルの、愛とこだわりを感じさせる優品の一つです。

二つぐらいを組み上げると、コツも分かってきて、あとはスラスラと組み上がりました。六つのサスペンションを組み終えるのに、30分もかかりませんでした。このアスカのサスペンションセットに慣れてしまうと、ドラゴンやタミヤのサスペンションの組み立てが楽に思えてしまいます。 (続く)