ラストのステップ13です。元キットでは砲塔を車体にセットして完了となりますが、今回はStrv m40L軽戦車への改造工作ですから、作業はまだ続きます。車体前面の改造に進みます。
ステップ10の段階でガイドの指示通りに組み立てた車体前面です。この範囲はStrv m40L軽戦車の前期型とほぼ共通しており、Strv m40L軽戦車とハンガリーのトルディ軽戦車とが、同じランズベルク社のL-60軽戦車を母胎にしていることが理解出来ます。
スウェーデンのヘスレホルム博物館に所蔵されるStrv m40L軽戦車の前期型です。前照灯ガードにブラインドが付き、向かって左側のグリル部に装甲蓋が付けられている他は、キットの状態と同じです。
作中車は、Strv m40L軽戦車の後期型です。赤円内に示すように、車体前面全体に増加装甲が追加されています。この状態での再現を試みます。
こちらがStrv m40L軽戦車の後期型の実車画像です。増加装甲の形状や取り付け状況がよく分かります。さらに車体前面下部の円形の出っ張り、牽引ホールドの様子も分かります。
この図を参考にして、作中車の状態に合わせます。
ブラ板を採寸しカットして、増加装甲をこしらえました。
ヒンジやハンドルなどをブラ材やジャンクパーツで作りました。
最後に、リベットおよび突起部を再現しました。
車体前面下部の円形の出っ張り、牽引ホールドもジャンクパーツで再現しました。ちょうど良いサイズのものがあったので助かりました。
右側フェンダー上にある長い手摺もブラ棒で再現しました。
後部車体のパテ盛り部分をヤスって整形しました。
車輪類を仮に組み付けてみました。サスアームの反りや歪みを出来るだけ是正しましたので、なんとか車輪の並びが一直線になっています。そうしないと、履帯の組み付けが難しくなり、繋いだ履帯がズレて壊れたりします。けっこう注意が必要です。
だいたい作中車の姿になったと思います。作中車は細部を色々省略しているため、「こういうのは現実には有り得ない」とアーセナル軍事博物館の方が指摘しておられましたが、マンガですから仕方ないでしょう。
とりあえず、塗装前の車体および砲塔の工作および改造が全て終わりました。もう本当に、本当に、大変な作業の連続でした。
画像や文章では、あっさりと作ったような印象を受けるかもしれませんが、2日ほどは一日じゅう作業していました。朝起きてすぐに組み立て作業にとりかかり、食事だけしてあとは夜寝るまで組み立て作業に没頭していたのでした。
やたらに時間がかかったのは、改造部分の工作があらかじめ作成した図面通りにいかず、キット本体の実物採寸にもとづいていたため、ブラ板のトレースやカッティングに何度か失敗しているからです。加えて、アーセナル軍事博物館からの懇切丁寧なアドバイスや、製作途中のキットへの指摘や指導もいただいておりますから、作業工程が記録にも残せないほど複雑になりました。
なので、作業の段取りが混乱してミスった箇所もあり、自分でも何をやっているのか分からなくなるときがあったほどです。同じものを絶対に二度と作れないな、と何度も思いました。
最後に履帯を組みました。ホビーボス製品特有の細かくて壊れやすいパーツですので、接着剤も最小限で使用してくっつけました。上図のように10個ずつ繋いだものを作って、さらに流し込み接着剤をひいて固めておき、それらを繋ぐという手順で進めました。
起動輪および誘導輪に巻き付ける部分は、いったん巻き付けて形を作ってから、流し込み接着剤をひいて固めておきました。
私の製作では、組み立て式の履帯は塗装後に組み付けることが多いので、だいたい4つほどに分割して作っています。起動輪の巻き付け部分、誘導輪の巻き付け部分、上部の履帯、下部の履帯、です。塗装後にそれぞれを車輪に取り付ける際に、たまに履帯が1枚不足するので、予備を2枚準備しています。 (続く)