セルバ身延店を出て、この日の宿である上図の不二ホテルに入りました。前回の訪問時にスタンプを押した際、今回の予約を直接入れておいたものです。素泊まりで5000円でした。
不二ホテルの公式サイトはこちら。
一階エントランス兼ロビーの空間です。玄関の間口も広くとって、ゆったりした雰囲気があり、居るだけでリラックス出来ます。
建物自体がもともと立派に造ってあり、天井を設けない小屋根裏までの高い空間構成が、かつては高級旅館として開創した由緒をしのばせます。現在のオーナーさんが経営を引き継いでから、リーズナブルな料金体系になったと聞きますが、有り難いことです。
以前に聞いた話によれば、隣の下部温泉郷の宿泊価格が高いため、ゆるキャン△巡礼者の大多数は日帰りにするか、甲府あたりのビジネスホテルか、富士五湖エリアでのキャンプ泊にするか、のいずれかを選ぶ傾向があるそうです。もともとアニメファンや聖地巡礼者は全般的に高い出費を嫌う傾向があり、ある程度の予算を持っていたとしても、アニメグッズや関連商品の購入にあてることが普通なので、交通費や宿泊代は出来る限り削ろうとします。
それは「ゆるキャン△」に関しても同様なので、聖地の地元側としては、それをくみ取ったうえでの、なるべくお金をかけなくても楽しめるような企画、工夫をするべきだろう、と思います。たぶん、そういった試みの一つが、旧下部中学でのキャンプイベントなのだろうと思いますが、キャンプに縁のないファン、装備を持たないファンを最初からはじいてしまっているようなので、お金があってキャンプ装備も持っている方しか入れないのではないかと思います。
思えば、ガルパンの大洗があそこまで成功した理由のひとつが、お金を掛けなくても楽しめるような配慮の数々でした。それによって、大多数の巡礼者は大洗までの交通費だけで日帰りで遊びに行くわけですが、大半はそれでハマってしまい、結果として何度も通うリピーターとなっていったのです。
そうなると、食事や宿泊もするようになって、結果的に大洗に相当のお金を落としてゆく、という流れになります。だから、大洗で買うグッズが少なくても、缶バッジしか特典が無かった時期でも、毎日のようにファンが大洗へ出かけていたわけです。それは、おそらく大洗という土地が本来持っている魅力、観光資源力というものが大きかったからではないか、と思います。
そういう流れが、ゆるキャン△の身延にはまだ見られません。谷川商事さん等の企業努力によって豊富で大量のグッズ類が準備され展開されましたが、それはファンにとって魅力的てあると同時に、ゆるキャン△巡礼はとにかく金がかかる、という意識を醸成せしめた面も少なくありません。
昨今の日本経済がスカスカになってきている状況、国民の平均年収が右下がりを続ける厳しい時期においては、むしろ、逆効果になりつつあるのではないか、お金がかかることに辟易したファンが一度の訪問で終わりにしてはいないか、という懸念すらあります。
身延も、大洗とは別の魅力、観光資源力を豊かに備えているはずなのですが、まだそれを生かし切れていない段階のまま、なし崩し的に「ゆるキャン△」ブームに直面してしまい、そのままグッズもやや無節操気味に展開されて、もともと交通費がかかるエリアてあったので想定支出額がさらに膨らむ、という流れになっていっている気がします。
もともと地理的にも地政学的にも閉鎖的なエリアであるうえ、公共交通が最低限に近いため、それらがどうしてもネックになっているという側面はありますが、しかし、アニメファンというのはそういうマイナス要素も問題にせずに聖地へと向かう生き物です。聖地がどんな遠隔地にあろうとも、一度は現地に足を踏み入れてアニメの世界観に浸るのが、アニメファン共通の夢です。
そのニーズを生かして、低予算プランをたくさん工夫すれば、未訪のファンもこれから身延に向かうでしょう。そのあたりの展望はちゃんと描かれているか、青写真なりビジョンなりは模索されているのか、が今でもこれからも問われることでしょう。
そういった事柄を、不二ホテルのオーナーさんと色々と話しました。昔から身延の地域振興に関して真剣に考えておられる方のようで、ゆるキャン△のブームによって来訪者が増えた事を喜びつつも、もっと仕掛ける必要がある、何か工夫がないものか、と熱心に語っておられました。
なので、上図のように、ここの施設を温泉付きの休憩スポットとして使えるプランも準備しておられます。ゆるキャン△巡礼の際に気軽に立ち寄って、持参の弁当を食べるなり、和室で昼寝するなりして、くつろいでいっていただければ、ということでした。
例えば、3時間以上の利用で1500円、9時から16時までの7時間が最長利用タイムですから、ファンのオフ会やイベント集会にも使用出来るわけです。皆様、いかがでしょうか。天然かけ流しの温泉付きです。
これが源泉かけ流しの露天風呂です。ただし、冷泉であるそうなので、通常は内湯のほうで源泉かけ流しを楽しんでもらうというシステムのようです。
今回泊まった和室です。一人ですと広すぎるぐらいです。おかげでゆったりと過ごせました。
外回りを歩いてみました。御覧のように施設の前の桜の下に方形の駐車スペースがありますが、これは奥に隣接する別の宿「長生館」の専用駐車場です。不二ホテルの利用者は車を停めないようにお願いします、との事でした。
不二ホテル専用の駐車場は、上図の範囲に全部写っています。建物の横に3台停めてありますが、そのスペースと、道の反対側の、軽トラの左側の広場が駐車場です。寄せて並んで停めれば20台くらいは入るそうです。
不二ホテルまでの道は一本しかなく、上図の橋を渡る必要があります。蛇行する常葉川の東側に孤立した場所なので、甲斐常葉から行く場合でも波高島駅へ向かう道へいったん入って身延線のガード下の狭い道をくぐらないといけません。そのガード下の入口には「長生館」の看板があり、それが唯一の目印です。
不二ホテルの南側で大きく東に蛇行する常葉川です。流れの内側に広い河原が広がりますが、梅雨の時期、台風大雨の時期には全てが濁流と化するそうです。
橋の上から、身延線の鉄橋と、常葉川の対岸の道路を見ました。あの道路を右に行けば甲斐常葉、左に行けば波高島駅前や富山橋に至ります。
まだ桜が咲き乱れていました。時折の風に花びらがサッと舞い落ちてゆくのを、携行していたお茶を飲みつつ、しばらく眺めていました。
暗くなってからは、温泉に入って疲れを癒し、部屋に戻って、オギノ山中湖店で夜食用に買っておいた吉田のうどんのカップ麺を食べました。
こんな感じでした。普通のカップうどんでしたので、たとえば「どん兵衛」を食べているのとあまり変わらない気がしました。あわせてお握りやサバ缶を食べ、トマトジュースでシメました。
その後は、持参したDVDプレイヤーでゆるキャン△を見たり、ガルパンプラモデルのキットを組み立てたりして過ごしました。そして19時半ごろに、再度温泉に浸かってのんびりと休みました。 (続く)