豊郷小学校酬徳記念館けいおんコーナーにおける清掃整理修復作業にて、ナガシマさんが担当していた二階の展示棚の整理と再構成がとりあえず終わったということで、見に行きました。
今回、ナガシマさんはフィギュアだけでなくグッズ類もかなり整理清掃の手を加えたようで、バラバラでゴチャゴチャだったグッズ類もある程度分類され、展示位置もなるべく集約されていました。食器や小物類は一階の奥棚に移す、という計画もまとめてあったため、今回はその下準備のような形で小物類が仮移動されていました。
数ヶ所の棚には、かなりの空きスペースが生じていました。ダブリ展示品を倉庫におさめたり、陳列を再構成したりしたため、相当の余裕が生まれたようです。これによって、計画案の一つであるフィギュア寄託品の展示模索への道が開けました。
周知のように酬徳記念館けいおんコーナーの展示品のメインは、けいおんキャラクター達のフィギュア類です。日本最大の発売数と売上高を記録してフィギュア業界に多大な変化と恩恵を及ぼした「けいおん」の凄さが端的にうかがえますが、展示構成を見直してみますと、そうした「けいおん」の奥深い魅力や素晴らしさを最大限に引き出せるまでには至っていませんでした。
その理由としては、従来の展示状態が雑然としていて見た目にも分かりにくく、アピール力に欠けていたことがまず挙げられます。ついで、フィギュア作品群のラインナップがあちこち欠けている、という状況も少なからず影響していました。
それで、不足しているフィギュアを補完し追加展示することで、フィギュア群の展示発信力は大きく向上するだろうと思われます。寄託展示の案もここから発しており、要するに不足しているフィギュアをファンからの寄託の形で補完し、皆で展示を盛り上げていこう、というイメージでまとまっています。
ですが、これまでの数年間ずっと、酬徳記念館のメンテにすら手をつけてこなかった大多数のファンに呼びかけてもあまり反応がないだろうと予想されましたので、とりあえず寄託展示の件はナガシマさんと私とで実験的に取り組んでみることにしました。この案を当局にも相談して、了解を取り付けました。
なんでも当局の観光協会としては、寄贈よりも寄託の方が有り難いのだそうです。寄贈と言うのは、体のいい放置または廃棄に等しいですから、そんなのを大量に蓄積されても困る、ということです。ごもっともです。
これに対して寄託は、所有者が「貸し出す」のであり、「期限付きで提供展示する」ことであるため、寄託展示品は依然として所有者が責任を持って所有しているわけです。
寄託期間は一般的に一年ぐらいとされますが、その間は所有者は自身の展示品をメンテする義務があります。そうやって多くの方が酬徳記念館に関わっていただければありがたいし、観光協会の多大な負担を減らすことが出来る、ということです。
なので、ずっとボランティアでメンテ作業をして下さっておられるKさんも交えての協議の結果、今後は観光協会としては寄贈は受け付けず、寄託のみを受け付けて期限も明確化しよう、という基本的なガイドラインがまとまりました。ファン側の窓口としては、とりあえずKさんと私が暫定的にあたることになりました。
今回の作業の発端というか契機となった、バンプレストのグレイスタイルシリーズも、以前の無残な破壊盗難の状態から、上図の状態に復しました。破損して倉庫に仕舞われていた左端の中野梓を私が修理して復活させたほか、田井中律と右端の中野梓をナガシマさんが寄託提供、平沢唯と琴吹紬を私が寄託提供することによって、6体のうちの5体までが揃いました。展示位置も二階に移して保護ビニール内におさめました。
あとは盗難にあって失われた秋山澪ですが、これも有り難いことに熱心なファンの方より寄託提供の申し出があり、10月中旬以降には加わる運びとなりました。
このあたりのフィギュア群は、セット分の数体がまだ不足しており、多くは仮展示にとどめています。不足分は今後、寄託によって補完してゆくことになるでしょう。
今後の作業課題としては、名札の設置と展示品リストの作成、の二つが挙げられます。
フィギュアだけでも沢山展示されていますから、アニメ放送当時からのファンであり、ミニフィギュアを一生懸命集めていた私ですら、これは何だろう、初めて見た、というような品が多いです。展示品の基本情報ぐらいは必要ではないか、と考えて、名札はとりあえずフィギュアに付けることになりました。フィギュアの正式な商品名、実際の発売時期、発売メーカーの3項目を記入して展示品に付します。寄託展示品については赤字で「寄託品」と付記します。
展示品リストの作成も重要です。以前から運営管理にあたっている観光協会の担当者すら、「何がどれくらいあるのかさっぱり分かりません」とこぼしていましたが、私たちも同様でした。清掃整理をしながら大体の状況を把握してゆきましたので、フィギュアだけでもリストを作ろう、ということになりました。
まずはこれまでに市販された「けいおん」関連のフィギュアのリストを作り、そのなかに酬徳記念館の展示分も明記して分かるようにする、という方針で、後日私がリストの作成にあたりました。
この展示品リストは、寄託展示品の管理記録も兼ねるため、今後は観光協会に1部、作業に関わったKさん、ナガシマさん、私の手元に情報共有資料として1部ずつ配する予定です。さらに、展示への寄託提供を申し出た方にのみ、酬徳記念館の展示リスト分が配信される形になるかと思います。
また、当局やKさんとの相談の結果、展示品は原則として公式品つまり市場販売品に絞ろうということになり、ファンからの手作り寄贈品などは二階の西壁まわり、一階の右側棚などに集約することになりました。その作業は次の機会に回されました。
またプラモデル等の寄贈品は破損しているものが多く、修理も出来ないので次の作業時に倉庫に仕舞われることになりました。
なんとか仕上がって保護ビニールも取り付けた二階展示棚を記録撮影するナガシマさん。
一階の私の担当範囲も、なんとか仮棚をセットして上図のようになりました。
とりあえず作業終了の記念撮影。 (ナガシマさん撮影)
ナガシマさんの帰路の新幹線の時刻に合わせて退出しました。また来るよ、豊郷小学校。
近江鉄道の米原駅にて、二人で記念撮影。大変な作業をとりあえず一日やり遂げた、という安堵感と充足感の故に、二人とも笑顔でした。
よく考えたら、前日からずっと京都や宇治で巡礼行動をしているにもかかわらず、二人での撮影はこれが初めてでした。 (ナガシマさん撮影)
新幹線の時間まで間があったので、ホーム内の立ち食い蕎麦店で熱い蕎麦をすすりました。普通の蕎麦ですが、この日の特別な感慨が味付けになってやけに美味しかったです。 (ナガシマさん撮影)
今回は、私の方が先に新幹線で米原駅を起ちました。向かいのホームの、先ほど一緒に食べていた立ち食い蕎麦屋の前で、ナガシマさんが手を振って見送ってくれました。
ナガシマさん、二日間どうも有難うございました。酬徳記念館での作業、大変お疲れ様でした。またいつか共にメンテ作業を頑張りましょう。
以上で、「けいおん!の聖地をゆく17」の豊郷レポートを終わります。